「Maker」とは、自分たちの手で何かを作ることが好きな人達のこと。そんなMaker達の祭典「Maker Faire Tokyo 2017」が8月5〜6日に東京ビッグサイトで開催された。

 Maker Faireは、サンフランシスコで始めて開催されたのを皮切りに世界中へと広がり、日本でも2008年に「Make: Tokyo Meeting」としてスタートして今年で9回目を数える。会場ではDIY製品に基づいた様々な展示などが行われていたが、今回は特にハードウェアに注目したレポートをお伝えしたい。

オーディオ機能にこだわったソニーのマイコンボード

 「SPRITZER」は、ソニーセミコンダクターソリューションズがMaker Faire Tokyo 2017で始めて披露したIoT向けのマイコンボード。Arudino Nanoと同サイズの小型基板にARM Cortex-M4Fの6コアプロセッサにGPSチップアンテナのほか、ソニーのオーディオ機器でおなじみのハイレゾ対応デジタルアンプ「S-Master」を搭載している。

 親基板とセットで使用することでArdino UNOとピン互換になり、LTEやWi-FiなどのArduino向けの各種シールドが利用できる。SPRITZERを利用することで、単なるセンシングや通信機能を持ったIoTデバイスだけでなく、高音質なオーディオ機能を持つ新しいデバイスが簡単に開発できるようになる。発売は2018年春の予定で、価格はRaspberry Pi等のMakerにおなじみのマイコンボードと大きく変わらない程度の見込み。

 会場ではSPRITZERを使って、明るさの変化に反応して音楽を再生するプレイヤーのほか、ドローンの制御に用いたり、ユーザーの歩行速度に応じて選曲するヘッドフォンなどのデモを行っていた。

衛星から花粉ロボまで作るウェザーニュース

 民間の気象情報会社として知られるウェザーニュースが、今回初めてMaker Faireに出展。同社は気象庁から提供を受ける気象データだけでなく、独自の気象衛星や、世界各地の設置した気象センサーからのデータを用いて気象予測を行っており、そうした衛星やセンサーなどのハードウェアは、ほとんどが自社内で開発しているという。

 そのひとつ「ポールンロボ」は、花粉観測のためのロボット。「花粉プロジェクト2017」で全国の設置協力者を募集していたもので、外部から空気を取り込み、含まれる花粉をレーザーセンサーで測定、インターネット経由でウェザーニュースのサーバに集積して、日本全国の花粉の飛散情報を発信するというもの。コントローラにRaspberry Piを使用しており、またリアルタイムで測定とデータ送信が可能なため、従来の人間が目視で花粉をカウントする測定方法よりも素早く正確な花粉情報の発信が可能だという。

色を音に変えて遊ぶスマートトイ「Pictouch」

 「Pictouch」は、福岡にある教材開発などをおこなっているPLAce株式会社が開発した、カラーセンサーを使ったスマートトイ。手を挟み込むように取り付け、手の平に位置するカラーセンサーで触った物の色を読み取り、連動するスマートフォンに送信、色に応じてさまざまな音が鳴るというもの。

 身近なものの色をきっかけにして、カラーセンサーというテクノロジーに触れ、スマホやPCの画面に縛られずにテクノロジーで遊ぶことを目指したもの。3Dプリンタで造形した本体は、子どもが扱いやすい形状。色に反応して音が鳴るというわかりやすさも子どもに受けたようで、会場では子どもが色んなものにタッチしたり、リズムに合わせてメロディを出したりして遊んでいた。

 

ボタンをはめるだけでメロディが作れる「loop」

 「loop」は、積み木のようなおもちゃのシンセサイザー。8色の木製のボタンをloop本体の穴にはめ込むと、ボタンの色や穴の位置に応じてさまざまなメロディが奏でられるというもの。積み木のようなシンプルなインターフェイスながら、ボタンと穴の組み合わせによって、いろいろなメロディが表現できる。

 仕組みはシンプルで、ボタンの内部に抵抗が埋め込んであり、ボタン裏面と穴の端子が接触することで、ボタンの種類を判別している。本体のダイヤルでテンポや音の長さ、音階を変えることができ、さまざまな音の組み合わせを楽しむことができる。作っているのはPanon Musicという電子工作とメディア・アートが好きなクリエイター組合。「loop」はMaker Faire Tokyo 2016にも出展しており、今回はそれをさらにブラッシュアップしたもの。

なんでも打楽器にできるUSB-MIDIアダプタ「TC-1」

 「TC-1」は、ローランドに所属するエンジニアによるユニット「WOSK」が、個人で開発したUSB-MIDIアダプター。TC-1を通して、ヤマハ「DT20」などのドラムトリガーと音源を接続することで、なんでも打楽器にしてしまうことができる。

 オリジナルの基板を起こし、筐体も削り出しで製作しており、このまますぐにでも製品として発売できそうなほどの完成度が高い。要望が高ければ、基板と部品をセットにしたキットとして発売することも考えているそうだ。

スノーボーダーの不安を解消するためのデバイス

 

 「RSD-01」はスノーボード用の防犯デバイス。六角形のセンサーユニットと直方体の中継ユニットからなっており、センサーユニットをスノーボードに取り付け、Zigbee Proによって中継ユニットと通信。休憩中などにスノーボードが動くとセンサーユニットが検知し、中継ユニットからBLE経由でスマホのアプリに通知する仕組み。逆にアプリ側からの操作でセンサーに内蔵されたブザーを鳴らすこともできる。

 センサーユニットは、ワンタッチで取り外し出来るように設計されているほか、スノーボード側に固定するハーネスに内蔵された磁石によって、ユニットを取り付けると自動的にスイッチが入るなど、実際の利用シーンやユーザー体験がよく考えられた設計がなされている。開発したのは組み込み系のエンジニアがひとりで立ち上げた「rino products」というメイカーチームで、アウトドアスポーツやアクティビティのためのガジェット開発を行っている。

 

360度映像をリアルタイム配信! リコーの移動するロボット

 リコー社内のファブスペース「つくる〜む」では、同社の「360°Live Streamingカメラ RICOH R」を使ったテレイグジスタンスロボットを出展。映像の配信にはCerevoの「LiveShell X」、動力部分はMakeBlock、コントローラはLTEモジュールがスタックできるLinuxボードBiscuitという組み合わせ。制作したのは、RICOH Rの開発メンバーでもある井内育生さん(インタビュー前編後編)だ。

 

一覧へ戻る 右矢印